田辺さん名言集 Time is Sweets~時はマカロン~

酒寄希望(ぼる塾)

第15話 「団子を食べながら人の悩み相談を聞いても、ちゃんとその人のことを心配しているよ」

みなさんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。

わたしの相方田辺さんの名言を通してみんなで気楽になろう!というこの連載。


今回の名言はこちら!

 

わたしが団子を食べながら次に食べるバームクーヘンを探している状態で人を心配していても、わたしはちゃんとその人のことを心配しているよ

 

わたしはたまに悩み相談を受けることがあります。そのときいつも心に浮かぶことが2つあります。ひとつは、出来れば悩みを解決してあげたいという思い。そしてもうひとつは、

 

わたし(わたしは今ちゃんと心配しているように見えるだろうか)

 

いけないと思いつつ、いつもこんなことが頭に浮かんでしまいます。勿論、100%の気持ちで相手を心配しているのですが、きちんとそのことが相手に伝わっているか不安になるのです。

 

わたし(わたしが良いアドバイスをできなかった場合、酒寄さんは真剣に悩みを聞いてくれなかったと思われるかもしれない。せめてちゃんと心配している印象だけは与えておきたい。だって本当に心配しているもの!!)

 

余計な事を考えているせいか、わたしは悩み相談を受けた後はいつも変な疲れが出ます。

 

わたし「…ということを考えちゃうんだよね」

田辺さん「大丈夫よ。ちゃんと心配しているなら相手に伝わっているよ」

 

ある日、わたしはこの話を相方である田辺さんにしました。田辺さんはわたし以上によく悩み相談を受けています。しかも田辺さんの悩み相談は人気があります。

 

田辺さん「でもさ、わたしも悩み相談の聞き方についてというか、人への心配の仕方について考えたことがあるよ」

 

田辺さんは言いました。

 

田辺さん「悲しいときとかに食欲がわくと、『自分はなんてひどい人間だ!』って思ってしまうみたいなのがあるじゃない?」

わたし「わたしも食欲が嫌になったときあるよ。『なんでこんなときにお腹が空くんだ!』って」

田辺さん「わたしあれおかしいと思うよ! 食欲は本能だから仕方ないでしょ! 悲しいときだって食欲があるのが人として当り前よ。それでひどい人間なんてことない! その人はしっかりと生きている人間!」

 

田辺さんは続けました。

 

田辺さん「わたしはさ、誰かの悩み相談を受けているときに絶対に何か食べているのよ」

 

確かに、今わたしの話を聞いている田辺さんはクッキーを食べていました。

 

田辺さん「今はクッキーを食べているけど、例えばわたしが誰かの悩みを聞きながら団子を食べていたとするよ?」

わたし「なんでわざわざ団子にするの」

田辺さん「団子食べているほうがより楽しい感じになっちゃうでしょ」

わたし「それはなんかわかる」

田辺さん「それでさ、わたしは団子を食べ終わったらバームクーヘンを食べる予定でいるの」

わたし「うんうん」

田辺さん「でもさ、わたしが団子を食べながら次に食べるバームクーヘンを探している状態で人を心配していても、わたしはちゃんとその人のことを心配しているよ」

わたし「ちょっとその状態で人の心配するのって難しくない?」

 

わたしは思わず田辺さんに言ってしまいました。田辺さんは、「酒寄さん、聞いて」と、微笑んできました。

 

田辺さん「相談事ってね。大体ごはんどきかおやつの時間にやってくるの。みんな忙しいから」

わたし「それはあるね。相談する側もされる側も仕事とかあるものね」

田辺さん「だから相談されるときってわたし空腹の状態なの。空腹の状態で悩み相談を聞くとするよ? 早くごはん食べたいからすぐに悩み相談を終わらせたくなっちゃうでしょ!

わたし「あ!」

田辺さん「何かを食べながらであれば、わたしは永遠に悩み相談を聞ける。それにね、自分が満たされているときのほうが良いアドバイスってできるのよ

わたし「なんかそれわかるよ!」

田辺さん「悩み相談は余裕がある人にするのが正解だと思うよ。わたしが空腹のときにされたとしてもきっと何もアドバイス浮かばないもの。自分のことで頭いっぱいで」

 

田辺さんは、「それを踏まえてさっきの団子の話を思い出して」と、言いました。わたしは団子の話がよくわかるようになっていました。

 

わたし「すごい! 理解できたよ! むしろ団子は大事だよ!」

田辺さん「そうね。団子は相棒かもしれない。でもさ、わたしだって食べられないときがあったのよ」

 

そう言って、田辺さんは過去の話を始めました。

 

田辺さん「わたしがステーキを『さぁ食べよう!』ってフォークとナイフを持ったときに、あんりが突然泣き出したことがあったの。あのときは流石に食べられなかったよ。泣いている人の前でステーキ食べるのってすごい勇気がいるって知ったよ」

わたし「それは食べられないよ…」

田辺さん「でもさ、あんりは泣いているからたまにうつむくときがあったの。そのときがチャンスだって思ってうつむいたタイミングで食べたよ

わたし「結局食べてるじゃん!」


あんりちゃん「わたし気づいていましたよ」

 

そのとき、突然あんりちゃんが我々の話に参加してきました。それまで彼女は静かにおにぎりを食べていました。

 

田辺さん「やだ! 気づいていたの!」

あんりちゃん「バレないようにステーキ食べている田辺さんを見て、『泣いている場合じゃない。これくらい図太くならなきゃいけない』って思って前向きに頑張ろうってなったんです。ありがとうございます」

田辺さん「わたしすごいね!」

 

わたしも今回の話を聞いて、田辺さんのように余裕のある人間になろうと思いました。悩んでいる人がいたら、まず一緒にお腹を満たすところから始めます。