
田辺さん名言集 Time is Sweets~時はマカロン~
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酒寄希望(ぼる塾)
第12話 「私が変なところで遠慮しても相手は別に得しない」
みなさんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。
私の相方田辺さんの名言を通してみんなで気楽になろう! というこの連載。
今回の名言はこちら!
「30代後半過ぎてから昔より図々しくなった。
私が変なところで遠慮してもされた相手も別に得しないって経験で学んだから」
この連載は、田辺さんの名言語録でありながら私の成長記録でもあります。
田辺さんと出会う前の私は問題の多い人間でした。「酷いことをしてやる!! ヒャッハー!!」という人間だったわけではありません。良かれと思ってやった結果が周りを傷つけるタイプの最低人間だったのです。
そうなってしまう大きな要因は気にし過ぎる性格でした。
田辺さんとの前のコンビ時代。こんなことがありました。楽屋で私は田辺さんと同期のAくんと三人で話していました。そこに先輩がやってきて言いました。
先輩「楽しそうだな。三人って仲良いの?」
先輩はとくに意味はなく聞いたのだと思います。しかし、私はこういう質問に対して真剣に考えてしまいます。
私(私はAくんと話すと楽しいけど、人気者のAくんは私なんかより仲の良い芸人がたくさん いるし、私と仲良しってイメージを先輩にもたれたらAくんは迷惑かも…)
そして熟考した私の返事は、
私「田辺さんはAくんと仲良しだけど、私は全然仲良くありません」
すぐに田辺さんが、
田辺さん「三人で超仲良しです!」
と、答えたことを覚えています。そして、田辺さんと二人きりになったとき、
田辺さん「さっき、なんであんな悲しいこと言ったの?!」
そう言われ、自分がとんでもない失言をしたことに気づきました。
他にも、サプライズで私のバースデーケーキを後輩が用意してくれたとき、人数分足りなかったことがありました。用意してくれたことでもう充分嬉しかった私は、
私「私は食べなくていいからみんなで食べなよ」
田辺さん「酒寄さんは絶対に食べるの! 誕生日のチョコプレートと一緒に!」
鬼の形相の田辺さんに言われ、自分の間違いに気づきました。今回は自分で書いていて非常に苦しいです。
他にもたくさん間違えました。あまりにも間違える私に田辺さんは言いました。
田辺さん「酒寄さんの気にし過ぎは優しさからくるってわかっているけど、良くないよ」
私「どうして変な感じになっちゃうんだろう?」
田辺さん「すぐ遠慮するからよ。遠慮って相手のためを思っているようで、『こっちの気持ちを察して』がセットになっていて厄介だよ」
私は衝撃を受けました。察しての気持ちがないとは言えなかったのです。
田辺さん「遠慮するよりも素直に受け取ったほうが相手は嬉しいよ」
確かに、田辺さんは私と同じ状況のときは遠慮せずに「仲良しです!」と言うし、「早くケーキが食べたい!」と言います。
私「田辺さんの返しはみんなが喜ぶ」
田辺さん「贈り物とか、相手はあげたいからあげるのに受け取らないほうが失礼でしょ。あげたくない物をわざわざ『あげます』って言っている人に会ったことないよ」
私「その通りだ…」
田辺さん「他にも、『ここは私が払います』、『いえ、悪いです』とかのラリーも無駄だよ。ありがたく奢ってもらって次に奢ってもらった側がご馳走すれば良いだけ」
私「ちょっと話変わるけど、私が『あなたと友達です』って言ったら迷惑にならない?」
私の心にずっとあの日の出来事がひっかかっていたのです。田辺さんにも、そのことがわかったようでした。
田辺さん「嬉しいに決まっている! 目の前で一緒に笑っていた人が『友達だ!』って言ってくれたらそりゃ嬉しいよ!」
田辺さんは、「でも全然関わってない人が私のいない場所で『友達』って言っていたら嫌だけどね」と、迷惑な場合も教えてくれました。
この会話の数年後に私達は解散。新しく結成したぼる塾は私が育休中に三人組として売れてしまい、自分の存在意義がわからなくなりました。しかし、そのとき私は、最後は遠慮せずに居続けることを選択しました。
ここまできてまだ今回の名言が登場していませんが、何故なら、これらの出来事全てを思い出させてくれた最近の田辺さんの言葉だからです。
田辺さん「30代後半過ぎてから昔より図々しくなった。私が変なところで遠慮してもされた相手も別に得しないって経験で学んだから」
私がぼる塾に対して遠慮しなかったのは35歳より前の32歳です。田辺さんに助けられ、経験から学び、私は少し早めに図々しくなれて本当に良かったです。