何者かになりたくて

奥田修二(ガクテンソク)

第4話 師匠

●書籍未収録のエピソードを特別公開!


先日、オール阪神・巨人師匠のツアーに参加させていただきました。

僕たちが解散を考えていた7年目、とにかく自分たちには漫才しかないと思い、真剣に漫才に取り組んでいたとき、初めて評価してくださったのが巨人師匠です。

そのあともごはんに連れて行っていただいたり、単独ライブのゲストに出ていただいたり、賞レースの出番前の応援コメントでは「奥田くんのツッコミはね、ツッコミの向こう側をツッコんでる!」という激高ハードルをいただいたり、とにかく公私ともにお世話になりまくっております。

巨人師匠は優しい方です。というか、よしもとの師匠方は、後輩に本当に優しいです。

そりゃあ、若手のころはバチバチにやり合ってたと思いますが、バチバチにやり合ってきたからこその優しさを感じます。

そして、その優しさの中にも、「けど、お前ら若手に出番を譲る気はまだまだないからな!」という、熱い厳しさも感じます。

僕もいつか「師匠」と呼ばれる存在になって、大阪市外の自宅から、愛車でなんばグランド花月に入れるようになりたいです。

ただ、そうなるには達成しないといけない項目が山盛りあって、途方もない道です。

M-1チャンピオンになれば、それらの項目を4〜5個は省略できると思いますが、僕にそのワープチャンスはもうないので、1個1個、確実に項目を塗りつぶしていきます。

夢だけでメシは食えませんが、夢もなく食うメシでは味なんてしなさそうじゃないですか。

人間、綺麗事だけでは生きていけませんし、ずっと澄んでいたいと思っても、どうせいつか勝手に濁ってしまうと思います。けど、どうせ濁るなら、自分から濁ろうとはせず、勝手に濁るその瞬間まで、綺麗事を言って生きていってやろうと思います。


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他、たくさんのエピソードを収録!

【15年間のM-1グランプリ挑戦】

【四十代独身ライフ】

【芸歴18年目の上京】

【THE SECOND優勝】……

ガクテンソク・奥田修二が

「四十路独身上京漫才師」としての日々を綴った初エッセイ集


『何者かになりたくて』

奥田修二著

2月14日発売

定価1650円(税込)

発行ヨシモトブックス

https://www.amazon.co.jp/dp/4847075277