鳴らせ心臓
坂田光(銀河ゆめゆめ)
第8話 ハロー、銀河ゆめゆめ
6月29日をもって、コンビ名をサンシャインから「銀河ゆめゆめ」に変えた。NSCの時からだから15年。福岡の大学生の時、のぶきよとサークルでお笑いをやってた頃から考えたら18年。人生の長い間、本名の次に寄り添い、共に歩んできた名前。付けた当初は、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、とんねるず、ナインティナインなどの日本を代表する爆売れのお笑いコンビの方々のように「ん」「ン」がコンビ名に入ると売れるというベタなジンクスがあった。
19歳の僕はこのお笑い界のトップジンクスを確定の大事実と信じ込み、ひたすら「ン」がつく言葉を探しノートに羅列した。ちなみに「ン」が付いてなくても売れてる凄いお笑いコンビや芸人さんは沢山いて、正直売れるということには名前よりももちろん実力が大前提のこの世界。それでも何とかあやかろうと、必死に藁をもすがる思いで羅列した。
候補に「アルゼンチンバックブリーカー」「ジェファーソン」などある中で、福岡県は天神のマックの2階で僕らが選んだのは「サンシャイン」。そこからまさか18年もこいつと一緒に過ごすことになるとは。
福岡の大学を卒業後、上京したNSC時代。授業のスタッフをやっている先輩たちに、コンビ名がもう既出していて他とかぶってたり、権利上や倫理上などで問題がある場合はコンビ名を変えなければいけないと教わった。実はその頃、僕らの1つ上の期にサンシャインというトリオの方がおられて、なんなら毎年1、2組は絶対にサンシャインは出てくるらしい。先輩スタッフに変えたほうがいいですか?と聞いたら、その先輩は
「いいよ、変えなくて。そんなダセえ名前付けるやつ毎年出てくるし、絶対辞めるから笑」
小馬鹿の果ての嵐。てめえもどうせ辞めるからと皮肉をたっぷり込めた完全に舐めた口調で言われた。むかつきすぎて、じゃあそのダセえ名前でてっぺんとってやるよと、心臓は燃えに燃えた。おかげで選抜クラスには全部入れたし、NSC東西対抗や他事務所とのネタバトルライブでは大将で出た。NSC卒業ライブの演劇公演では主役だった。自分で言うのもなんだが、かなりのエリート。完全にロケットスタートを切った。
そしてその皮肉の先輩はすぐに辞めていた。いや、お前が辞めんのかよ。勘弁してくれよ。このボケのためにめっちゃフッてたのかよ。舞台上で頼むよ、プライベートでそれはただむなしいって。でもおかげでがむしゃらに頑張れたから良しとしよう。
そして15年が経ち、結果、改名することとなった。理由はいくつかあるが、それはもうひとえに、検索しづらい。ネットやSNSで「サンシャイン」と検索しても、全然出てこない。なぜなら競合が多すぎるからだ。都内屈指の某商業施設も、業界屈指のアニメタイトルも、他にもお店だったり色々。なんなら今年の4月に始まった朝の情報番組も名前が被ったりして、これはもうこれは。そしてサンシャイン池崎さんの存在。池崎さんのほうが先輩だけども、事務所が違うもので、10年ぐらい前に一度ルミネで同じ名前対決みたいなバトルライブも開催された。その当時は改名とかはなく、共に頑張ろうと円満に終わった。しかしそっからの池崎さんの大活躍、大躍進。爆売れすぎて、もう完全にお笑いでサンシャインと言ったら池崎さん、という感じになってしまった。コンビとピンだしなと思っていたけど、R-1に出る時はサンシャイン坂田だし、池崎さんとコンビなの? トリオなの? と言われることも沢山増え、これはもうややこしやややこしや。どっかのタイミングで変えるかと思いつつ、まあ結果出たらなぁ、変えるのも寂しいしなぁ、ずっとこの名前でやってきたしなぁ、、、。その想いが続き15年。
2025年6月29日。年に一度開催している単独ライブのタイミングで、うだつの上がらないこの状況にケリをつけ、爆売れするために、これからも闘うために改名することを決めた。
そして決めた新しいコンビ名は
「銀河ゆめゆめ」
実はこれ、去年の単独ライブのタイトル名。毎回ネタ以上に信じられない時間と熱量でタイトルにこだわって考えて付けているので、元々この言葉に思い入れがあった。ちなみになぜこの単独タイトルにしたかと言うと、いつもやっている日常の続きのようなリアリティのある設定のネタはやめて、今回はとにかく想像を飛ばして飛ばして、壮大にSFに好きにやっちゃおうとのことで、銀河というワードを使った。
ゆめゆめは、
[副]《副詞「ゆめ」を繰り返して意味を強めた語。「努努」「努力努力」などとも当てて書く》
(あとに禁止を表す語を伴って)決して。断じて。「—忘れるな」
と辞書にあり、「ゆめゆめ忘れるな」は、「決して忘れるな」という意味あいがある。初単独のタイトルは「お前の宇宙に入れてくれ」だったから、初単独のあの初期衝動を、情熱を、決して忘れないように。そういう思いで、銀河ゆめゆめと名付けた。
今回コンビ名を新しく付けるにあたり、その去年の単独を思い出し、思い出から引っ張ってきた銀河ゆめゆめ。響きも由来も言葉も全部気に入ってるけど、まあ姓名判断も大事だよなとネットにあるいくつかのサイトで調べたら、大大吉というまさかの最高の画数だった。
「大きな幸運に恵まれ、成功を掴みます。血の滲むような努力とは無縁で、自然と成功ができる強運を持っています。窮地には必ず、誰かが助けてくれます。強運なうえにさらに自身でも努力ができるため、他の人には成し遂げられないような成功を掴むでしょう」
ななななんて良いこと尽くしなんだ!!!!!
通風になるかと思う程の贅沢な嬉しい言葉の嵐。キングオブコントで勝ちたいがために、1年に100本新ネタ作って身体壊すぐらいやってた俺たちに「血の滲むような努力とは無縁で、自然と成功が出来る強運」。ムチからの特大アメ。高低差ありすぎて心臓ギューンなるわ。
ずっと大好きだった人は、本当に君の運命の人なんだよとロマンスの神様に言われたような気がした。頭の中で広瀬香美さんがずっと爆音でピアノを弾いてくれてた。これはもう決まりだな、でもただ発表するのはなと、改名することはのぶきよへは内緒にして、その代わり嘘のコンビ名を教えて、単独のエンディングで本当の名前を発表することにした。
そして、のぶきよに事前に伝えた嘘コンビ名は
「ブタ100発」
これはさすがに嫌がるだろう。怒涛のツッコミがくるだろう。そう思っていたら、まさかの全然嫌がってなかった。豚肉好きだし嬉しいわと、なんなら軽く喜んでいた。嘘だろ。なんか思ってたのちがうんだけど。一緒にドッキリに協力してくれた作家もマネージャーも、ちょっとあいつ変すぎないか?と頭を抱えてしまった。
ありがたいことに、僕に全幅の信頼を寄せてくれるので、お前が決めたんなら全然いいよ! うわーブタのぶきよとか言われるかな? と一切の疑問も感じず、目を輝やかせていた。元々黒目がデカいのぶきよ。しかしその目はよくよく見たら真っ黒で、黒も黒。漆黒。宇宙だった。なんでブタって呼ばれたいんだよ。黒い銀河に全幅の恐怖を覚えた。
この恐怖の黒銀河ドッキリ動画は単独「溢れたの万雷」の配信特典にて観られる。7月6日日曜お昼12時まで購入可能なので、まだ間に合う。これを読んでる皆さん、ぜひ黒銀河に間に合ってほしい。
そうして会場のお客さんにも、SNSやネットニュースでも発表された僕たちの新コンビ名「銀河ゆめゆめ」。この名前で新しくまた旅を続けることになった。ありがとうサンシャイン。ようこそ銀河ゆめゆめ。広がる大宇宙の可能性。無限大。ワクワクする。
ネットでも沢山の声を聞けた。思いの外、評判が良くて嬉しい。そんな中あった誰かが付けたランキング。
改名ランキング第1位ちょんまげラーメン、第2位バリカタ友情飯、、、、最下位銀河ゆめゆめ。
なんでだよ。なんでだよだよ。
※次回の更新は、7月17日(木)頃の予定です!