芸人用語大全集 芸辞苑

柏木成彦(素敵じゃないか)

第7話 芸人用語「ライブの型」

こんにちは、素敵じゃないかの柏木成彦です。

早くも7回目になりましたこのコラム。

7といえば4個目の素数ですね。7は素数の中でいよいよ本格的な素数が出てきたなという印象を持たれる数字です。2は最小でなおかつ唯一偶数の素数なので素数感が薄い、3.5は計算しやすすぎるので、素数というよりただの奇数という印象です。やっと少しは蘊蓄(うんちく)のある奴が出てきたな、そういう感じがするのが7ですね。7好きです。


さて今回のテーマは【ライブの型】です。

お笑いライブには色々な型が存在します。大きく劇場主催型と芸人主催型の二つに分かれますが、今回は芸人主催型について、紐解いて名前をつけていきましょう。

 

 

【企画至上主義】

企画自体の面白さに重点を置いたライブのこと。アイディア一つで名物ライブになる可能性がある。

 

企画ライブの頂点とは、「誰が出ても盛り上がる」「演者の出来不出来に関わらず盛り上がる」「お題を変えるだけで何度もできる」「作家・演者のカロリーが少ない」この4つが全てクリア出来ているものと定義付けます。企画自体の素晴らしさでライブの面白さを保証できる企画が頂点でしょう。

やさしいズ・たいさん考案の「超超超、超超超、超超超超超難問王決定戦」などがこれに当たります。簡単なクイズを用意するだけでいい。演者は何も準備しなくていい。お客さん参加型。この上なく盛り上がる。完璧です。こんな企画を思いつきたいものです。

 

 

【パワー】

根性や体の丈夫さを売りにする芸人のコーナーライブのこと。

 

芸人のタイプとして、「頭は悪いけど体は丈夫なのでやれと言われたことはなんでもやります」という全員に愛される系芸人がいますが、その人たちが主催する、もしくはスパルタの作家さんに主催されるライブのことです。痛い、熱い、冷たい、辛い、臭い、汚いなど、人が嫌だと感じるありとあらゆるものに立ち向かい、耐え、根性で面白いリアクションをとるという男の中の男ライブです。このライブの特徴としてお客さんがあまり入らないという点がありますが、見に来たお客さんは大満足の表情で帰っていきます。ぜひ行ってみてください。

 

 

【克服】

自分たちの芸人としての課題をテーマに、それを克服する過程を見てもらうライブのこと。

 

「MCを頑張るライブ」「コーナーを頑張るライブ」「大喜利を頑張るライブ」「人見知りを克服するライブ」「仲直りするライブ」などのバリエーションがあり、その芸人の人となりが好きなお客さんが応援するライブでもあります。

本気で臨むので笑いをとる以上に人間の底力が見れる、熱量のあるライブです。

 

 

【裁判】

特定の芸人に不満や言いたいことがある芸人が集まり、仲裁役を挟んで裁判をするライブのこと。

 

素行の悪い芸人や、問題を起こした芸人に対して検察や弁護人を置き、裁判長をMCとして話し合うドキュメンタリー形式のライブです。ライブが終わるまでどう転ぶか分かりません。本当に共演NGになるパターンもありますし、熱く抱擁して仲直りするパターンもありますが、展開が読めない分見どころ満載の形です。

 

 

【トークライブ】

トークだけのライブのこと。カロリーが少ない割に人気なコンテンツ。

 

トークだけで行うライブです。コンビでする【水入らず】や、仲良しの芸人仲間でやる【友達】、毎回話したことがないゲストを呼ぶ【徹子】などのパターンがあり、その中でテーマを設けずにただただ話す【べしゃり一本道】、テーマを設けて話す【安全】などの構成パターンがあります。「え、お前ら月一で水入らずのべしゃり一本道してんの⁈」「徹子なら安全の方がいいと思うで」のように使いましょう。

 

 

【単独ライブ】

 1組の芸人が単独で行うライブのこと。芸人にとって特別な位置付けのライブ。

 

芸人主催のライブで1番力を入れるライブが単独ライブです。満席になれば箔がつきますし、大きい会場ならなおさらです。自分たちだけのお笑いで場を支配できるという点でも特別な意味のあるライブです。単独ライブの中にも細かいカテゴリが存在します。

 


【嘘単】

ゲストを呼ぶ単独ライブ。


2.3組呼ぶ場合もあり、これは野澤輸出さん的には単独ライブではなく「団独ライブ」らしいのですが、大阪ではよく見られる型です。毎回ゲストを呼ぶタイプと、全国ツアーでもゲストは絶対に呼ばないタイプに分かれます。全国ツアーでゲストなしの場合は、打ち上げが劇的につまらなくなるので、打ち上げで一緒に飲みたい人をゲストに呼ぶこともあります。

 

【60分漫才】

60分、出はけなしで、漫才をし続ける単独ライブ。


基本的には5-7個のネタをつないでいきますが、スムーズな繋ぎ目も見どころの一つ。全部新ネタであることが多く、漫才単独の最終地点ともいえる単独です。2丁拳銃さんは百式という100分漫才を。囲碁将棋さんは120分漫才をしています。変態です。囲碁将棋さんと2丁拳銃さん以外は大人しく60分漫才をしましょう。

 

【アルバム】

自分たちの名作ネタだけをやるライブです。ベストネタライブともいいます。


このライブは芸人にとって1番楽な単独と言っていいでしょう。ありネタだけをやるので準備期間はゼロ、企画もゲストもなしなので会議もゼロ、自分たちのお客さんなので会場はすごい熱気、ほとんど不労所得、マンション経営ライブです。今まで自分たちがして来た努力の賜物と言えるでしょう。ありネタにかまけず、一本一本をブラッシュアップして臨む見上げた人たちも存在します。

 

【平凡単独】

オープニングコント→オープニングV→ネタ→幕間V →ネタ→幕間V →ネタ→幕間V →ネタ→幕間V →ネタ→幕間V→ネタ→エンドロールという誰が作り出したかわからないプロトコルをそのまま踏む単独のこと。


ネタの質が良ければ問題ありませんが、この形を踏むタイプは単独をやること自体に憧れてるだけの若手によく見られます。ありネタを3本入れる猛者もいます。なんそれ。

 

 

【新ネタライブ】

新ネタを下ろすライブのこと。


新ネタライブと銘打つことで、お客さんは新しいネタが観れるとワクワクし、芸人は新ネタだからすべっても許してねとハードルを下げることができる。

 


――新ネタライブにはいくつかのパターンがあります。

 

【単独新ネタ】

自分たちだけでやる新ネタライブ。


6-8本の新ネタを用意しなければなりません。演者のカロリーが最高レベルライブです。応援してあげましょう。

 


【アルティメット】

新ネタライブの定番の型。


用意する新ネタは3-4本。ゲストを4組ほど呼ぶ場合は、ゲストと交互にネタをやることでゲストがネタをやっている間に次のネタ合わせができるという隙のない型です。複数のゲストで集客も見込めますし、自分たちのファン以外のお客さんに新ネタを見てもらうことで、ウケ方にも信憑性が増します。かなり完璧な形の新ネタライブといえます。

 


【ツーマン新ネタ】

関係性のある2組での新ネタライブ。


用意する新ネタは3-5本。この2組で今年売れるぞという意味合いの強い型です。基本的に似たタイプのコンビ同士でやることが多く、お客さんも見やすいライブ。

 

 

他にもたくさんのライブの型があります。皆さんのよく行くライブはあったでしょうか。

劇場では毎日ライブが行われているのでまた見に来てください。きっと元気をもらえます。



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