あなたと私のエレガント人生
エレガント人生(中込悠・山井祥子)
第15話 生き方のクセ(山井祥子)
骨盤の歪みをチェックする方法の一つに『目を閉じてその場で50回足踏みをした後、目を開ける』というものがある。歪みがなければ目を開けた際に体の場所が変わっていないのだが、骨盤が歪んでいると前に進んでいたり横を向いていたりするのだ。
この前興味本位でこれをやってみたら、目を開けた際に体がやや左に回転していた。長年の座り癖や寝相でどこかが歪んでいたのだろう。本当であればがっかりするような場面なのだろうが、目を開けた際に変な場所を向いているのが面白くてめちゃくちゃ笑ってしまった。
私たちの1年もそのような感じだった。
この原稿を書いているのは2025年の大晦日なのだが、ふと立ち止まって振り返ってみると「あれ?こんな場所にいたの?」という感想を抱く。年始に立てた目標に向かってまっすぐ歩んでいたつもりが、気がついたら体の向きが微妙に変わっていたのだ。
私は、自分たちの生き方に“クセ”が出てきた事がうれしかった。
目標が流動的なものだと実感した今、あえて今年の目標を掲げるのであれば『今までやってきたものの質を上げる事』だろうか。YouTubeであれば演じるキャラクターの濃度をより濃くしたい。単独ライブであれば去年よりも確実に面白いものを作りたい。トークの仕事の際にアワアワしないようにしたい。とにかく全てにおいて、地味でもいいからレベルの底上げをしたいのだ。立派な目標を立てたとしても、どうせまた予期せぬ方向に向かってしまうのだから。
そりゃあ夢はたくさんある。全国ツアーもしたいし、執筆業の量も増やしたいし、深夜ドラマでヒロインに嫌味を言う役もやりたいし、夫婦で柔軟剤のCMに出たい。だがそれは、レベル上げが成功した後に成果として得られる類のものだ。だから今は夢をたくさん持った上でレベル上げをしながらゆっくり確実に道を進んでいこうと思う。
進んだ先にはきっと、私が夢として掲げている内の一つがあるはずだ。なにかしら。
あ!あともう一つ目標がある事を思い出した。ダイエットだ!!
今の体型もそれなりに気に入っているのだが、腰痛が酷くなってきたのでもう少し落としたいのである。あと最近、かわいいなぁと思う服が事ごとく入らないからだ。
自分が、フリーサイズの“フリー”から除外された存在なのだと実感した時の孤独感といったらない。
とはいえ痩せるのはそう簡単じゃない事が予想される。
私のダイエットにおいて突破すべき関門はいくつかあるが、その中で1番突破が難しいのが“悠ちゃんの誘惑”だ。
悠ちゃんはやたらと私に食べ物を食べさせたがるのである。
今日のお昼にもそんな誘惑があった。2人で街を歩いている時、突然「たい焼きを買ってあげようか?」と魅力的な提案してきたのだ。しかも昼食をたっぷり食べた後に……である。
私はたい焼きが大好きなのだが、なんとか理性を働かせて「ダイエット中だから遠慮するね!」ときっぱり断った。それにも関わらず、悠ちゃんは私をたい焼き屋の前に私を連れて行き「俺は買うけど、祥子は本当にいらないの?」と二度目の提案をしてきたのだ。
鼻腔に突き抜ける甘い香り。店先に並ぶひょうきんなたい焼きたちの顔。やさしい茶色のワンダーランドを前にして、私の理性はまともに機能しなかった。
気づくと私は豆乳クリーム入りたい焼きを手にしていたわけである。悠ちゃんは私のダイエットを応援すると言いながら、なぜ私におやつを買ってしまうのだろう。
ただ、実家に住んでいる時に母から全く同じ事をされていたので、これは私自身になにかしらの問題があると考えるべきだ。たぶん食べる姿がハム太郎ぐらいかわいいのだと思う。
ねぇ悠ちゃん。
気持ちはとてもうれしいけどあと10kg痩せるまでは甘い誘惑をしないでよ。(月に1度は可)
悠ちゃんは今年の目標をそれに定めてください。
もしかして誰かに厳しく接するのが苦手なのかな。強く何かを発言したことある?大きい喧嘩をした経験とか。あったら教えて!
※次回の更新は、2月19日(木)の予定です。